直腸脱とは
直腸脱の原因は、直腸を骨盤内に留めておくための筋肉(骨盤低筋群)や支持組織の力が弱くなることです。
直腸を支持できなくなると肛門の外に脱出してしまいます。
加齢・妊娠・出産・慢性的な便秘、お腹に力を入れる習慣がある方などに多く見られます。
ただし、直腸脱が生じる原因は決して一つではありません。
ご高齢の女性に多い病気ですが、稀に男性や若年者、小さなお子さんにも見られることがあります。
症状と特徴
はじめは排便時に強くいきんだ時に直腸が肛門から脱出して、いきむのをやめると自然に戻ります。さらに症状が進行していくと歩いている時や立ち上がるだけでも脱出して自然に戻らなくなり自身で押し戻さなくてはいけなくなってしまいます。
更に症状が悪化し脱出したままになると、不快感や痛みを感じ、擦れることで出血することもあります。
また、排便も困難となりお尻の締まりも悪くなるのでガスや便の漏れも伴うこともあります。
脱出してむくみが強くなると手で戻すことが困難になり、麻酔をかけて戻さなくてはいけない状態になることもあります。
治療方法
入院期間は約7-14日間
直腸脱は自然に治ることは無いので、手術による治療が必要です。
直腸脱の手術には、肛門側から行う手術(経肛門的手術)と、おなかの中から行う手術(経腹的手術)があります。
経腹的手術には開腹もしくは腹腔鏡による手術を行っています。脱出の程度や全身状態を考慮して手術方法を選択をします。
●経肛門手術
腰椎麻酔で行いますので体の負担が軽い手術で、心臓や肺などに病気のある方、全身状態の良くない方、ご高齢の方などにも行うことができます。
ただ、再発する可能性は比較的高いです。
デロルメ法、三輪-Gant法などの方法があり、病態に応じて術式を選択します。
●経腹手術
全身麻酔で手術を行います。
術式は直腸固定術がメインで、脱出した腸を吊り上げ固定する方法です。
全身麻酔は心臓や肺に負担がかかり、手術時間も長くなります。
心臓や肺などに病気のある方、全身状態の良くない方、ご高齢の方に行うには一定のリスクがあります。
ただ、経肛門手術と比べると再発の可能性は低くなります。