頭痛

はじめに

頭痛は、日常で起こりえる最も訴えの多い症状の一つです。
頭痛のほとんどは、辛いけれども命にはかかわらない「こわくない頭痛」ですが、一部には放っておくと命にかかわる「こわい頭痛」があります。これを区別するのはとても大事なことです。
主に慢性頭痛と呼ばれる「一次性頭痛」と、原因となる病気の症状として頭痛が起こる「二次性頭痛」に分けられます。一次性頭痛の代表は、片頭痛、群発頭痛、緊張型頭痛、薬物乱用頭痛があり、二次性頭痛は、脳出血や脳腫瘍など脳の血管や神経の病気が原因となる頭痛です。

頭痛の種類

●一次性頭痛
代表的なものとして、片頭痛(偏頭痛)、緊張型頭痛、群発頭痛などがあります。 診断するためには、くも膜下出血や脳動脈解離、脳血管攣縮、脳腫瘍などによる、2次性頭痛ではないことの確認が必要です。

片頭痛

ズキンズキンと痛むタイプの頭痛で、多くは頭の片側に起こります。
身体を動かすのが辛くなり、光や音の刺激で悪化したり(光過敏・音過敏)します。
周期的に起こり、日常生活や仕事に支障をきたすことがあります。
視界がチカチカしたり(閃輝暗点)、手足のしびれ・脱力、言葉の喋りにくさが起こったりすることがあります。

群発頭痛

1~2カ月間程度の期間に集中して激しい痛みを伴う頭痛が起こります。
片頭痛よりも激しい痛みで片側の目の奥に起こり、えぐられるような激しい痛みが起こります。
20~40歳代の男性に多いのも特徴です。

緊張型頭痛

慢性型頭痛の一つとして、多くの割合を占める頭痛です。
頭全体が締め付けられるような痛みはありますが、吐き気は伴わないことが特徴です。
ストレスや運動不足、長時間のドライブや前かがみの姿勢をとることが多い人、肩や首のこりなど筋肉の血流が悪くなっている人に発症しやすいです。
身体的ストレスと精神的ストレスが重なることによって症状が悪化すると言われています。

薬物乱用頭痛

頭痛薬の使い過ぎによる頭痛です。頭痛薬は適切に必要な量使えば安全ですが、長期的に連用してしまうと、痛覚の閾値が過敏になってしまい、慢性的に頭痛が起こりやすい状態になってしまいます。
頭痛薬を一ヶ月のうち10日以上内服している状態が3ヶ月以上続くと、薬物乱用性頭痛になるリスクがあります。
処方薬でも市販の頭痛薬でもいずれでも起こる可能性がありますので注意が必要です。

●二次性頭痛

一次性頭痛と異なり、他の病気が原因となっている二次性頭痛は、注意が必要です。
二次性頭痛は生命に関わることもあるため見逃せません。

脳出血(くも膜下出血)

脳出血の一つ「くも膜下出血」は、発症すると死亡率が約50%と非常に高く、とても怖い病気です。
原因は、脳の血管のふくらみである「脳動脈瘤」の破裂によることがほとんどです。
典型的な症状は、「激しい頭痛」「意識障害」「嘔吐」などです。
突然の持続する頭痛、バットで殴られた様な頭痛など今までに体験した事の無い様な激しい頭痛が突然起こります。

 

脳腫瘍

脳腫瘍の症状は大きく分けて3つあり、頭蓋内圧亢進症状、脳局所症状といった症状が出てきます。
また、腫瘍により脳が刺激を受け、てんかん(痙攣発作)を起こすことがあります。

1.頭蓋内圧亢進症状
頭蓋骨の中は閉じた空間であるため、脳腫瘍ができることで脳内の圧が上がることで症状が出てきます。
頭痛は起床時に一番強く、その後徐々に軽快していくようであれば脳腫瘍による症状である可能性があります。
突然吐き気もなく突然吐いて、吐いた後はスッキリします。

2.脳局所症状
脳は場所によって司る機能が違います。そのため脳腫瘍のできる場所によって、色々な症状が現れます。
脳腫瘍の場所によって複視、難聴、耳鳴り、めまい、運動麻痺、痺れ、言語障害といった症状が見られます。

髄膜炎

頭蓋骨と脳の間にある髄膜に細菌やウイルスなどが感染し、炎症を起こした状態です。
発熱や頭痛が初期症状のため、風邪と間違えてしまい早期受診が難しいと言われています。
症状の進行は早く、1~2日で命に関わるほ重篤な状態になることがあります。

頭部神経痛(大後頭神経痛)

電気が走るような瞬間的な痛みが特徴です。
主に帯状疱疹ウイルスが原因であることが多いです。

治療方法

薬物治療

それぞれ、頭痛の症状や特徴が異なります。痛みの出方や発症しやすい年齢や性別、痛む時間・期間も違います。
頭痛の原因や種類も異なるので、対処法も異なります。

一次性頭痛の治療目的は、頭痛頻度、頭痛強度,持続時間を減らすこで、頭痛による辛い時間を短くして生活の質(QOL)を改善させます。
治療では主に薬物治療を行い、原因と思われる生活習慣を改善させることで頭痛の予防と改善を目指します。
消炎鎮痛剤、筋弛緩薬や抗不安薬など頭痛の種類に合わせて治療薬を選択します。
また、群発頭痛には酸素吸入も有効な治療法とされています。

非薬物治療

主に2次性頭痛に対する治療です。
原因がはっきりしているので、治る可能性がある頭痛です。
しかし、緊急性のある頭痛もあり、生命に関わる疾患もあるので注意が必要です。
各疾患によって治療方針は違います。

脳出血のような生命に関わるような疾患もあり早急な対応が必要になることがあります。 
場合によっては緊急手術が必要なことがありますので激しい頭痛が起こった際はすぐに病院へ受診してください。
また、脳腫瘍のような手術による治療が必要となる疾患もあります。
放っておくと徐々に大きくなり切除が困難になることもあるので頭痛、めまい、吐き気、ものが2重に見えるなどの症状があった際は病院受診してください。

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