裂肛(切れ痔)

裂肛とは

俗に「切れ痔」と言われるもので、硬い便を出した時や頻回の下痢などが原因で、肛門に負担がかかることで肛門上皮が裂けてしまいます。
また、感染によって引き起こされたり、肛門の後方の血流が悪いために裂肛ができるとも言われています。
傷ができたばかりの浅い「急性裂肛」と、長い経過の中で繰り返し裂けることで、肛門潰瘍と見張り疣や肛門ポリープなどをができる「慢性裂肛」に分類されます。
前方、後方が裂けることが多く、女性や若年者に多く見られます。

症状と特徴

・排便時や排便後に痛みを認めます。
・拭いたティッシュや便に少し血が付着する程度です。
・時に便器が真っ赤になるくらい出血することもあります。
・慢性化すると見張り疣や肛門ポリープによる違和感や脱出することがあります。
・繰り返すことで肛門が硬く狭くなり、太い便が出せない状態(肛門狭窄)になることがあります。

治療方法

保存的治療

便秘や下痢を起こさないような排便習慣、食生活などの生活習慣の改善して裂肛の症状を悪化させないようにすることが大事です。
肛門の衛生を保つため、入浴や座浴なども有効です。
温まることで血流が良くなり、傷の治りが早くなったり痛みの軽くなったりします。
また内服薬や軟膏などの薬も症状によって適宜使用します。

手術治療

日常生活に支障を来すような肛門狭窄、肛門ポリープや見張り疣を伴うもの、保存的治療で改善しない裂肛などが手術治療の適応となります。
ポリープ、見張り疣の切除や各種肛門を広げる術式を病状に応じて選択します。
入院期間は約2-7日間です。治療方法によって入院期間は変わります。

側方皮下内括約筋切開術(LSIS)

保存的治療を行っても排便時の痛みが良くならず、再発を繰り返してしまうことがあります。
これは内肛門括約筋の緊張が強くなることで、肛門が狭くなり便が出しにくくなり、排便時や排便後の出血や痛みが強くなったりします。
「側方皮下内括約筋切開術」はこのような機能的に肛門が狭い方に、
内肛門括約筋の一部を切開し、筋肉の緊張をとって、正常にする手術方法です。
この手術で肛門が広がり、切れにくくなり痛みの軽減に繋がります。

用手肛門拡張術

肛門に指を挿入して、狭くなった肛門を広げる方法で、切開などは行わず
侵襲が少ない手術で、軽度の機能的な肛門狭窄に行うことが多いです。また、狭窄を改善するだけではなく肛門括約筋に対するマッサージ効果によって、肛門括約筋の緊張をなくし肛門内圧が高まった状態が手術直後から改善しますので狭窄だけではなく、急性裂肛の痛みをに対しても有効です。
一度で効果がなかっ たり再発してしまった場合でも繰り返し行うことも可能です。

下記の方には施行することができません

  • 妊婦又は妊娠している可能性のある方、授乳中の方。
  • 透析療法を受けている患者〔使用経験がない.アルミニウムの排泄が極端に遅延するおそれがある〕
  • 嵌頓(かんとん)痔核を伴う患者〔症状を悪化させることがある〕
  • 本剤の成分又はリドカイン等のアミド型局所麻酔剤に対し過敏症の既往歴のある患者
  • ヘモグロビンA1C

    結果がその日にわかる検査機器を導入しています
    糖尿病は自覚症状がないことが多いため、血液検査を行って発症しているかどうかを調べる必要があります。
    当院では、糖尿病の診断に重要な血糖値とHbA1c、尿検査の3項目の結果が受診した当日にわかるHbA1c測定器を使用しています。この機器を導入しているクリニックはそれほど多くはなく、通常は検査を外注していますが、当院では患者さんの状態を即日に把握し、スピーディーに治療へと反映させることができます。

  • 糖尿病脂質異常症(高コレステロール血症など)
  • 甲状腺疾患(バセドウ病、橋本病など)
  • 副腎疾患(手術を要しないもの)
  • 視床下部・下垂体疾患(手術を要しないもの)
  • 肥満・睡眠時無呼吸症候群

皮膚弁移動術(SSG)

裂肛が慢性化して深い潰瘍や見張り疣や肛門ポリープなどによる器質的な狭窄がひどい場合には「皮膚弁移動術(SSG)」が行われます。

硬くなった潰瘍部分、瘢痕部分、括約筋の一部を縦に切開(肛門ポリープや見張り疣も切除)して肛門を広げます。さらに切った傷を横に縫い合わせます。
そのままだと縫った場所にテンションがかかってしまうので、その外側の皮膚の一部を弧状に切開して皮膚の弁を作り、正常な皮膚を肛門内に移動させます。
これによって肛門上皮より強い皮膚が肛門の中に移動することで狭窄の解除と裂肛の再発防止を行う術式です。
また、他の痔の手術の後遺症などで狭くなった肛門にも施行できる術式です。

心と心の通った地域診療を

地域の皆様と共に疾病の早期発見・早期治療を目指してまいります

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